
FX取引では、通貨の価格は買えば買うほど価格は下がりますし、売れば売るほど価格は上がります。
一見、真逆のことを言っているこの真実は、投機取引が9割と言われている為替での独特な価格変動の仕組みが原因です。
買えば買うほど価格が下がり売れば売るほど価格が上がることがあらかじめ予想できるのなら、その時点での相場のポジションの偏りを読みとることで、トレードを有利に進めることができます。
この記事では、このような為替での価格変動の仕組みとポジションの偏りについてわかりやすく説明します。
この記事でわかること
- 実需による価格変動の仕組み
- 投機による価格変動の仕組み
- ポジションの偏りとは
- ポジションの偏りの判断の仕方
目次
実需による価格変動の仕組み

モノの価格はどうして上がると思いますか?
買う人が増えるからです。需要が増えれば価格が上がります。


買う人が増える、つまりみんなが買うとなぜ価格が上がるのでしょう?
モノが少なくなり、買いたい人は高い値段でも買いたいと思うようになるからです。

皆さんも学生のころに経済学で習いましたよね。
価格は需要が増えれば上昇し、供給が増えれば下落するということを。
みんなが買うという事は、欲しいと思っている人がたくさんいる状態。
つまり反対側では売ろうと思っている人が少ないから、商品の価値が上がって価格が上がるという原理です。


定価5万円のゲームが10個しかなかった場合、買いたい人が100人いればきっと価格が上昇します。
転売ヤーが社会問題化していますが、同じ原理ですよね。
これを為替に置き換えると下の図のようになります。

しかしこの原理が通用するのは実需による取引の場合だけなんです。
実需と投機のちがい
実需 ・・ 輸入企業や輸出企業の為替取引
輸入企業は円売りドル買い、輸出企業は円買いドル売り
その取引を買い切り玉、売り切り玉とよぶ
投機 ・・ 個人投資家や機関投資家など、為替の価格変動で利益を得る
利ざやをえるためには売ったものは買い戻す、買ったものは売り直す必要がある
実需と投機のについて詳しく説明した記事はこちら↓
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実需と投機~ちがいが分かれば値動きがよく見える
相場には実需と投機という2つの参加者がいる。この2つの特ちょうは全くちがっていて、相場に与えるインパクトもそれぞれだ。これを理解するのとしないのとでは価格変動の予測の精度が大きく変わってくる。
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企業は、商品や原材料を輸入するとき、相手の企業への支払いをドル建て行います。
そのドルは銀行から調達しますが、このとき円を打ってドルを買います。
このドルは買わなければならないものです。
ドルが不足していてその日ドルが高くても買う必要があります。
だからドル需要が多いとドルの相場はどんどん上がります。
ちなみに2024年6月現在、日本の貿易収支は赤字です。
円をたくさん支払ってドルをたくさん買っているから赤字。
ドルを買いたい人が多い状態です。円安の一番の要因です。

為替には実需の他に投機がある
為替取引のなかで投機の割合は全体の9割と言われています
為替の価格変動ではこの投機の特性を考えたとき、価格の決定は先ほどと全く逆の動きにります。
その理由を次に説明します。
投機による価格変動の仕組み

ずばり言おう。
投機取引では、為替相場は売れば売るほど価格は上がり、買えば買うほど価格は下がります。
いまいちピンときません💦


投機の特性は何だかわかりますか?
えっと・・・利ざやで儲ける必要がありますから
売れば買戻し、買えば売り直さなければなりません。


そのとおりです。反対売買がセットで取引を終えます。
買った通貨が上昇して利が乗れば売り。
逆に下落して損失が出ても売り。
つまり・・・
買えば買うほど最終的に売る。
売れば売るほど最終的に買う。

つまり、投機の取引は常にポジションとは反対方向の圧力がかかり続けるということです。


このような投機の特性をしっかり理解して、投機が売り突っ込んだ時や買いあがった時は、反対方向への圧力がたまることになるから気を付けましょう。
ポジションの偏りとは~投機ポジションの偏りを見極めて相場が逆にいくタイミングをつかむ
下は2023年4月6日午前のドル円チャートです。

アジアタイムオープンと同時に投機による売り仕掛が入りました。
この売りは午前9時25分まで続いています。
一方で、東京の午前中は9時55分仲値決定まで、輸入企業によるドル買い需要という実需の取引が入ります。
チャートの底面をよく見ると130.80円台からは売っても売っても下がらなくなっている。
仲値トレードでよくある状況ですが、投機が実需に向かって売り、下がらなくなると急反発します。
この時も同じでした。
午前9時25分に誰かが売り突っ込みましたが、おそらくそれまで売っていたものの価格が下がらず、なかばあきらめかけていた人たちが、ここぞとばかり一気に利食ったのでしょう。
価格は急反発し、いっせいにショートカバーが出て踏み上げています。
ちなみに東京午前中のこのような実需の動きと投機のポジションをの偏りを利用したトレード仲値トレードと言いますが、勝率の高いトレード手法ですでの詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして下さい。
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仲値トレード~実需の特性を利用して利食う
東京時間序盤に活発化する実需取引。それまでの投機筋のポジションを観察し買い切り玉でインパクトの大きい実需がこの投機筋にどう影響を与えるか考えてポジションを持つ。この勝率の高いトレード手法について解説。
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上の例では、けっきょく、投機の売りポジションが偏ったことによりおきました。
このように、ポジションが偏ると、反対方向への圧力がたまり、やがて相場はそちらの方向に大きく動くことになるのです。
つまり、投機筋が売り込めばポジションはショートに偏り、買い上げればポジションはロングに偏ります。
ポジションが偏れば偏るほど逆行するのですから、価格は買えば買うほど下落し、売れば売るほど上昇することになります。
次に、ポジションが偏ってぱんぱんになると売っても売っても下がらず、買っても買っても上がらなくなる仕組みについて説明します。
投機ポジションの偏りの判断方法①~買っても買っても上がらず売っても売っても下がらなくなるまでまて

通貨を買うと、それより高い価格で売り抜けたいですよね。
買った人がそれより高い価格で売るためには、その価格で買ってくれる人がいなければなりません。


このことは、さきほどよりも高い価格で誰かが買う必要があると言えます。
さきほどより高い価格で買いたい人は、相場がまだ上がると思っている人か買わざるを得ない人です。
買わざるを得ない人っていうのは、実需や損切りで買い戻す人のことですね。


さて、あなたがまだ相場は上がると予想して、上の価格で買ったとします。
しかし価格は上がりません。
逆に価格は下の価格まで下がりはします。
下の価格では相変わらず誰かが買い支えますが、やっぱり上の価格までしか上がりません。


ここに一つだけ条件を付け加えます。
相場の参加者のほとんどが下の価格で買っているとします。
みんなが買ってしまっているということは、もうこれ以上ほとんど買う人がいないということですね。


そうです。残りの少ない買いたい人は、高値をつかみたくありません。
ですから、価格は高値を更新することができず、買っても買っても相場は上がらなくなります。

なにも、これは高値圏での話だけではありません。
相場が買い下がった場合、つまり安値圏でも起こりえます。
安値圏で起こるのは、相場がまだまだ下落余地のある時です。


ここでも先ほどと同じように皆が買ってしまっていたとしたら。
ポジションはロングに偏ります。
残りのわずかな買いたい人は下落余地があるのですからこれより上の価格では買いません。
つまり値がつきませんから価格は上がりません。
しかもこの場合、ポジションをひっくり返したり、新規に売り込むことでストップロスをつけることができ、大きく価格が下落する可能性がありますね。

売りの場合はこれと逆の原理で説明がつきます。
このように、価格が停滞したところでポジションの偏りを読み取ることで相場の流れを予想することができるのです。
投機のポジションの偏りの判断の仕方②~FX会社のウェブサイトをみる
FX会社が提供するポジション比率を読むことによって、ポジションの偏りを判断することが出来ます。
各社のサイトに一定期間の通貨のポジション比率が掲載されています。
下は、外為どっとコムのサイトのポジション比率になります。

また、このサイトではIMMポジションも参照することが出来ます。

その他、各FX会社のウェブサイトにそれぞれポジション比率が掲載されていますので参考にして下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。
FXでは、ポジションの偏りを読み取ることでトレードを有利に展開することが出来ます。
この記事では以下のことについて説明してきました。
この記事のまとめ
- 実需と投機による価格変動のちがい
- ポジションの偏りとは
- ポジションの偏りの判断の仕方
相場は投機が買えば買うほど上がらなくなって下がり、売れば売るほど下がらなくなって上がります。
皆さんもこの原理をうまく利用して、トレードに役立ててみて下さい。