
相場の予測にはテクニカル分析やファンダメンタル分析がある。
そのなかでも、仲値トレードは特殊なたぐいになる。
どちらかというとファンダメンタル要素が強いけど、
一定の時間内の特殊な動きを利用するからだよね。


そうだな。
その時間内の投機の動きと実需の動きを見極めて
逆張りや順張りで対応するのが仲値トレードだ。
買い切り玉の実需の動きを利用するから、タイミングさえ合えばかなり勝率が高いトレードになるんだよ。
この記事に書いていること
- 仲値トレードとは?
- 仲値までの円売りドル買いの正体
- 仲値トレードで抑えておくべき相場の力学~ポジションの偏り~
- 実際の仲値トレード手法 3パターン
- 仲値トレード動画
仲値トレードとは
仲値トレードとは、東京タイムの午前中に出る、輸入企業のドル買い需要を利用したトレードのこと。

東京タイムの午前中、具体的には午前9時ころから午前9時55分まで、
この時間は輸入企業が大量にドルを買う。
輸入のドル買いは実需の動きだ。
実需のドル買い切り玉。
市場へのインパクトはかなり大きいね。

ここで、実需という言葉が出てきたが、仲値トレードを理解するうえで、市場参加者である実需と投機について知っておくことが非常に重要である。
この実需と投機についてはこれから簡単に説明するが、できれば詳しく書いた記事があるので、そちらに目を通してからこの記事に戻ってきて欲しい。
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実需と投機~ちがいが分かれば値動きがよく見える
相場には実需と投機という2つの参加者がいる。この2つの特ちょうは全くちがっていて、相場に与えるインパクトもそれぞれだ。これを理解するのとしないのとでは価格変動の予測の精度が大きく変わってくる。
続きを見る
また、為替の価格決定の仕組みについて書いた記事に目を通すとさらにこの記事の内容が分かりやすくなっているので参考にして欲しい。
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FX ポジションの偏り~投機筋のポジションが偏ると相場は逆に動く
FXにおける価格変動の仕組みについて説明。FXにおいて価格の決まり方は買えば買うほど上がるという一般的な考えは実は危険である。その理由について説明する。
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実需と投機
まず実需と投機とは以下のとおりだ。
実需と投機
〇実需 ・・ 輸入企業や輸出企業によるドル買いやドル売り
〇投機 ・・ 個人投資家、機関投資家などによる通貨の売買
次に、その特徴を説明する。
実需と投機のとくちょう
〇実需 ・・ 反対売買のない買い切り、売り切り玉
〇投機 ・・ 必ず反対売買が必要
実需とは企業による商品の売買代金の支払いや受取りのための通貨の取引である。
たとえば
〇実需 ・・ 輸入企業は、海外から商品を受け取るためにドルが必要となる。このドルは銀行から調達する(ドル買い)が、調達してしまえばあとは支払うだけなので、ドルの買い切り玉となる。
〇投機 ・・ 投機は為替差で利益を得る。つまり、ドルを買えば、高く売るし(もしくは安く損切り)、売れば安く買う(もしくは高く損切り)必要がある。

市場では、投機に比べて実需の割合は小さい。
しかし、上のように反対売買が必要ない買い切り玉、売り切り玉のインパクトは相当大きい。
東京午前中の実需の動き~円売りドル買いの正体
実需と投機のちがいが分かったところで、今度は実需の動きのくせを説明する。
この一定した実需の動きがあることで仲値トレードが成立する。
実需のくせ
〇輸入 ・・ 輸入商品の支払いにドルが必要。毎朝、ドルの調達のため、おおむね午前9時前後から仲値までドル買いを行う。
〇輸出 ・・ 商品を売って得たドルを円に交換する必要がある。不定期だが、節目でドル売りを行う。

輸入のドル買いは毎朝決まって出るというところがポイントだな。
細かいことを言うと、実際にドル買いをするのは、ドル買いのオーダーを受けた銀行だが。

銀行さん、銀行さん。
明日、商品を輸入代金10万ドルが必要です。
明日中に円をドルに交換してくれませんか。
上のような注文が毎日、さまざまな企業から銀行によせられる。
銀行は、必要なドルを東京の午前中、仲値が決定される9時55分までにインターバンクに注文する。
これが仲値までにおこる円売りドル買いの正体である。

2023年現在の日本は貿易赤字だ。
つまり、輸入額が輸出を大きく上回っている。
ということは、構造的な円売り圧力が出つづけているということになるね。

一方、輸出企業も円買いオーダーを出す。
輸出企業は商品の輸出によって受け取ったドルを、社員の給料、設備投資などのために円に交換する必要がある。
ただし、それほど急ぐお金ではないため輸入企業と違い、毎日オーダーを出さない。

そろそろ給料支払い日だから、円に交換しよう。
とか
ドル高だぞ。今のうちに円に交換しておこう。
と言う風に輸出のドル売りは節目で出るよ。
だから予想はできないよ。
仲値トレードの実際
上のとおり、東京タイム午前中の仲値までの実需の一定の動きが分かった。

毎日、同じ時間帯に必ず出る。
これは予想ではなく、確定された事実。
トレードするにあたり、こんな有利なことはない。
ただ、当然この時間帯であっても投機筋は存在する。
輸出のドル需要よりも投機によるドル売りが圧倒的に多ければ相場は下げる。
逆に輸出による買い上げからの利益確定が出れば、相場は反転する。

投機がいるから実需の動きによって必ず円安になるという保証はない。
しかし、ポジションの偏りが出る事に着目して有利なトレードにすることは出来る。
ポジションの偏り1 ~相場の力学 価格は損切りで動く~
仲値トレードの実際に入る前にポジションの偏りについて簡単に説明しておく。

投機筋はどうやって儲けるか分かるか?
通貨を安く買って高く売る
通貨を高く売って安く買う


その通りだが、じゃあ、いつ高く売るもしくは安く売るんだね?
機関投資家や銀行の扱う通貨量は想像以上に大きい。
そうすると、1ドル130円で大量に購入したドルを1ドル10銭上がったからと言って全部その価格で売れるのかというとそれは不可能である。
なぜなら、大量に売る過程で価格がどんどん下がってしまうから。
ではどうするかと言うと、この場合なら、どんどん買い上げて逆にドルを売った連中のストップロスを狙う。
ストップロスは多くの人が設定する損切り注文の執行である。
多くの人が注文を置いているから、相当量ある。
売った人の損切りの買い注文。
これに利益確定の売り注文を合わせるのだ。
ポイント
投機の利確は、ストップロスによって執行される

では、買っても買っても価格が上がらず、ストップロスもなかったらどうなる?
つまり、相当な売り圧力があったり売り注文がなく買えない状態

投機は必ず反対売買が必要だ。
買っても価格が上がらなければ、そのポジションは閉じなければならない。
そうなると大量に買われた通貨が一斉に売られ、ストップロスをも巻き込んで価格は急落する。
ポジションの偏り2 ~どのようにポジションが偏るか~

買っても買っても価格が上がらない状態とはつまりどういう状態か分かるか?
買いポジションを持ったトレーダーがたくさんいる状態・・・

当然、買いの反対側には売り注文があるから、売り注文を持ったトレーダーも同様にたくさんいるとも言える。
しかし、例えばその売り注文がずっと安く買っていたトレーダーの利益確定だったら?
もしくは、輸出企業の売り切り玉だったら?
これがポジションが偏るということである。
さて、本題の仲値トレードである。
輸入の買い切り玉に投機が売り向かえばどうなるか?
当然売りポジションが膨らむことになる。
この売りポジションが逃げ場を失えばどうなるかはいま説明したとおりだ。
仲値トレード ~順張り~

そろそろ実践編を説明する
アジア時間は、夏時間なら午前6時、冬時間なら午前7時から始まる。
アジア時間の投機筋は主に日本の個人投資家とシンガポールや香港の機関投資家である。
彼らは夏時間を例にとると、早ければ7時ころから仕掛けてくることもよくある。
ここで投機筋の方向性を見極める。
一方、本邦輸入勢は午前9時以降、9時30分ころまでに動き出す(厳密には銀行がオーダーを出す)。
ただ早い時は8時台でもオーダーが出ることもある。
投機の買いか実需の買いかは、毎日値動きを見ていると大体分かってくるのでプライスアクションで見極める。
さて、投機が円売りドル買いで入ってくれば、順張りとなる。

ただ慌てて買いあがることはしない。
トレンドラインなどをまめに引いて押し目やブレイクを待つ。
価格が上昇して行ってしまった場合は機会がなかったと思ってあきらめること。
このトレードの利点は、実需が価格を支えてくれるので、安心してポジションを持っていられることである。
仲値トレード ~逆張り 仲値まで~
次は投機筋が円を買って来た場合である。
この場合は逆張りとなる。

ただし、投機筋が猛烈に売り込んで仲値までの実需を全部飲み込むこともよくあるので、安易に値ごろ感で買わない。
実需が出始める午前9時ころまで、一気に売り込んで来た場合は買い場探しとなる。
投機筋も実需が入ることは分かっているから、早めに利食いたいはずである。
このため、9時まで、遅くても9時30分ころまでは相当量売り込んで、トレンドライン割れなどのストップを付けようとする。
このトレンドライン等を割り込んで走ったところがポイントとなる(ただしそのまま走り抜けて串刺しとなることも覚悟しておく)。
ストップがつけば一気に買戻してくるからだ。
そしてそれに実需が乗っかってきて、あとは利確を待つ。
また、それまで売り込んでいた投機がある瞬間、おもいっきり踏み上げられる場面がある(大陽線が出るなどチャートを見て判断)。
これは実需が入り始めたサインなので、この買いに乗る。
ただし、このトレードはあくまで逆張りである。
踏みあげられたその上から再度投機筋が猛烈に売り直してくることも多く、利が乗れば早めの利確がよい。
仲値トレード ~逆張り 仲値以降~
最後に仲値以降を説明する。
仲値トレードなのに仲値以降とはおかしな話だが、実需の効果が続いているということでついでに説明しておく。
投機筋の売りが強く、仲値までの実需を全て飲み込んだ、もしくは仲値に買い上げられているがポジション調整の買戻しがあまり出ていない場合にはこの手法を使う。
アジアタイムからロンドンへ移るのは、夏時間で午後2時、冬時間で午後3時である。
この直前まで、上のような状態である場合は、円買いドル売りポジションに偏っているということである。
すると、ロンドン勢はこのショートカバーを狙って買い上げてくることが多い。
初動を見て、この買い上げに乗る
又は、この直前でアジア勢がポジションを閉じることもある。
ここで乗ることも可能である。

最後に実際の仲値トレードの動画を載せておくので参考にして欲しい。
仲値トレード順張り
仲値トレード逆張り