
価格が上がるのか、下がるのか。それを予想する上で羅針盤となってくれるのがテクニカル分析です。しかし、数多あるテクニカル分析のなかでどれを選べば良いのか悩みどころではないでしょうか。また、既にいくつかのテクニカル分析を使っているが、どれも思ったような結果が出ずに優位性のあるトレードが出来ていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなあなたの悩みにお答えするため、この記事では、私が厳選するテクニカル分析の種類と基本を分かりやすく解説します。
テクニカル分析とは~ファンダメンタル分析との違い
テクニカル分析の逆側にファンダメンタル分析というものがあります。
ファンダメンタル分析を知っておくことが、テクニカル分析の理解の手助けとなります。
ここではファンダメンタル分析とテクニカル分析の違いについて説明します。
ファンダメンタル分析とは
ファンダメンタルズ分析とは以下のような出来事から通貨の動きを予想します。
ファンダメンタル分析
- 経済成長率や物価、失業率などを踏まえた一国の経済状況
- 内乱、政権交代などの一国の政治的動向
- 金融緩和、緩和縮小などの一国の金融政策
例えば、アメリカの経済が悪化すると、ドルの価値が下がるという意味でドル安になると予想される反面、ドルの供給が少なくなるという懸念が高まれば逆にドル高になるといった予想がされます。

もしも前者の考えであればドル売り、後者であればドル買いで利益を出そうだと分析することができます。
また、戦争や、大規模災害、各国の政情不安などでは、リパトリエーション(投資家が資金を引き揚げて本国に還流すること)が起きて、通貨が大きく動くことがあります。
一般的にファンダメンタル分析は通貨の長期的な動きを予想するのに適していると言われています。
テクニカル分析とは
一方でテクニカル分析ではそのような国の政治的背景等は一切考慮せずに価格の値動きだけ、つまりチャートのみを分析の対象とするのです。
テクニカル分析はチャートの値動きだけを分析
様々な数学的手法や過去の値動きのパータン、補助線などを使ってチャートを読み、そこから明らかにされる相場参加者の心理を的確に判断して、次の値動きを分析する手法なのです。
例えば三角保ち合い。
価格が高値を切り下げるとともに安値を切り下げて1点に収束していく値動きのパターンです。
過去の値動きのパターンとして三角保ち合いが出るといずれどちらかに大きくブレイクして価格が大きく動く可能性が高いです。
また、移動平均線はある期間の価格の平均値です。
価格が移動平均線が右肩上がりでなおかつ価格がそれよりも上の位置にあるならその通貨は上昇トレンドにあると言えます。
そうすると移動平均線より下に価格が下がったところはバーゲンセールと言えます。
ただ一般的には、価格が下がってきたとこを受けるのではなく、移動平均線付近でもみ合い、上放れして上昇していくのに乗っかっていく手法が手堅いトレードと言えるでしょう。

このようにテクニカル分析では、チャートに表示された値動きだけを分析して価格動向を予測するものであり、ファンダメンタル分析とは違い、短期的な動きの予想に優れていると言われています。

トレードでは損得勘定からくる欲望や恐怖で、判断を誤ることが多々あるのですが、テクニカル分析はそれを客観的に示してくれるという点でも有用です。
テクニカル分析の種類

ここからは、私が厳選するテクニカル分析の種類について解説します。
テクニカル分析は数多ありますが、結局は以下の基本の形をマスターするだけで十分です。
それぞれの分析手法をもっと詳しく知りたい人は、それぞれの記事へのリンクがあるので参考にして下さい。
ローソク足
ローソク足は、一定期間の価格の値動きを長方形で色分けしたものです。
一本のローソク足には、その期間の値動きが詰め込まれていて、次に価格がどう動くかの分析に役立ちます。
ローソク足は江戸時代の米相場を分析するために日本で開発されたもので、代表的な分析に酒田五法があります。
海外ではそれまで、星足や、バーチャートが利用されていましたが、今日ではローソク足を利用する人が増えています。
ローソク足だけでも様々な分析が可能です。


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補助線による分析
価格が上昇していくとき、一定の値幅で下値を切り上げ、上値を伸ばします。
これは上昇トレンドといえますが、この下値同士を補助線で結ぶときれいな対角線となることがあります。
これを補助線のうちトレンドラインといいます。
上昇トレンド中は、価格はトレンドラインで反発し、割り込めば崩れる可能性が高いです。
また、レンジ相場では高値、安値で水平方向に補助線を引くことができます。
このうち上の線を抵抗線、下の線を支持線と呼びます。
レンジ相場では抵抗線や支持線で反発して価格が反転する可能性が高いです。
このラインを上手く利用することによって、次の値動きを予想することが出来ます。

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インジケーターを利用したテクニカル分析

ここからは、数学を駆使して開発されたインジケーターを利用したテクニカル分析を紹介します。
インジケーターはトレンドフォローするトレンド系とトレンドの過熱感を表すオシレーター系に分けられます。
トレンド系 | オシレーター系 |
---|---|
移動平均線 | MACD |
ボリンジャーバンド | RSI |
一目均衡表 | ストキャスティクス |
移動平均線~SMA,EMA
移動平均線とはある一定期間の価格の終値の平均値を結んだ線です。
価格が移動平均線より上にあるならば、その期間、終値で買っている者は利益が出ていることになります。
移動平均線が右肩上がりだと上昇トレンド、右肩下がりだと下降トレンドであると判断します。
移動平均線は一般的に単純に平均値を出したSMAと、直近の値動きを加重させたEMAが使われています。

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ボリンジャーバンド
移動平均線と標準偏差を利用したテクニカル分析です。
標準偏差とは平均値からの差のことであり、この差が大きいほど価格は平均値に戻されるという考え方です。
一般的に2σ、3σというバンドを表示させてトレードします。
逆張りに使うことが多いですが、価格が大きく動く時はバンドウォークと言って、価格が2σ、3σに張り付いてどんどん上昇することがありますので、順張りのトレードがおすすめです。

MACD(マックディー)
MACDは、移動平均線をさらに発展させたテクニカル分析手法です。
移動平均線は直近の値動きから遅れて反応しますので、乗り遅れることが頻発します。
そこで移動平均線をさらに発展させて、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスを先読みするために開発されたのがMACDです。
先読みして反応する分、ダマシにが頻繁にあると言われますが、私が1分足のスキャルピングで利用している分にはよく効いていますのでおすすめです。

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RSI
RSIは相対力指数と言われ、買われ過ぎ、売られ過ぎを判断するために開発されました。
一定期間の「値上がり幅」と「値下がり幅」を基に算出します。
数値が70%を超えると買われ過ぎ、30%を下回ると売られ過ぎで反転のサインとみなします。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまで私が厳選した基本的なテクニカル分析について解説してきました。
もっと複雑で数学を駆使した分析手法がたくさんありますが、私の場合、これ以上の手法は使っていません。
相場は思っている以上にシンプルなのだと思います。
短期的な取引をするのであれば、それこそ相場の需給関係さえ読めてしまえば、テクニカル分析をせずともプライスアクションだけで一定の成績を上げる事も可能だと思っています。
結局は、テクニカル分析とは、その裏ににある需給関係の分析であるのだと思っています。
どうかこの記事を参考にしていただき、トレードの成績アップにつながるよう願っています。
相場の需給関係についた記事がありますので、もう少し詳しく知りたい方は以下を参考にしてみて下さい。
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